2015年10月12日、青山で行われた「総義歯印象セミナー」にZOO LABO義歯部の杉山が参加しました。
義歯部 : 杉山 健太
総義歯の印象といっても様々ある。
無圧なのか?加圧なのか?閉口なのか?開口なのか?
既成トレーなのか?個人トレーなのか?
アルジネートなのか?シリコンなのか?コンパウンドなのか?
どの材料を使いどのように採るのかがポイントとなる。
技工士が直接印象を採ることはできない。一見、技工士に印象方法等の理解は必要ないように思われがちだが、印象採得のコンセプトを技工士も理解しそれに合わせた技工作業が必要となり印象方法によってマテリアルの選択をしなくてはならいため、技工士も歯科医師がどのような考えでどのような印象採得をしているのか理解する必要が十二分にあるといえる。
今回の総義歯印象セミナーはVAS・下顎吸着義歯・治療用義歯・接着義歯・BPSなど印象方法について様々な考え方があるなか派閥を超えて様々な印象法の話を聞くことができとても有意義なものとなった。中でも諏訪式総義歯印象法が私の中では印象深かった。通常、シリコンないしコンパウンドでボーダーから採っていくのに対し、諏訪式総義歯印象法は粘膜面から採って最後にコンパウンドにてボーダーを設定するやり方であった。また、諏訪式総義歯印象法では吸着ではなく接着というコンセプトであり、接着と吸着の違いも理解することができた。
治療用義歯の話では、まず病んでいる粘膜を治療してから咬合を正常に戻して失われた機能の回復を目指す。義歯形態のゴールは有歯顎時のボリュームに戻すこと、それが失われた形態の回復となる。そこには義歯の形態(筋との調和)・粘膜の扱い(維持力・支持力)・顎位(垂直・水平)が重要で無歯顎の口腔内からそれらを探るため治療用義歯が重要であり有効である。
今回の総義歯印象セミナーにはBPSでタッグを組む歯科医師と一緒に受講したことで今回の話がチェアサイドとラボサイド間の共通認識となり症例の診査診断に効果を発揮している。
自費義歯は保険義歯に比べて患者の期待度がかなり高い。その期待に応えつつ更に感動を与える義歯を製作するには歯科医師とのコミュニケーション(共通認識での診査診断等)や患者とのコミュニケーション(マスクニーズの理解)が必要不可欠であると考える。そのためにZOOLABOとしてはBPSを軸にしつつ今回学んだ様々な考え方・手技を取り入れて、今までのBPSから更に一歩進んだnext stageの自費義歯を提供していきたい。