2015年6月14日、ハーネル仙台にて行われた「日本列島縦断吸着義歯セミナー
~吸着して機能する総義歯創りを極める~」にZOO LABO義歯部の杉山が参加し
ました。
義歯部 : 杉山 健太
本講演は4人の歯科技工士が吸着義歯を成功させるために必要な技工ステップを4つに分け、それぞれのポイントについて講演する内容であった。
・須藤先生:吸着を成功させるための個人トレー製作
個人トレーについては完成義歯の形をイメージして必要な部分の厚みの調整が重要になってくる。そのためにはトレーの試適時にトレーの大きさ・形の過不足の見極めが大切でここで見誤ると後の機能印象に影響が出る。例をあげるならレトロモラーパッドは薄く染谷のスジは避ける等があげられる。個人トレー製作において概形印象も併せて重要で解剖学的ランドマークが採りきれていることが望ましい。
・小田垣先生:吸着を失わずに機能的安定を目指す人工歯排列
人工歯排列については適切な人工歯排列を行い、デンチャースペースを確認しながら吸着を阻害する要因を作らないところに排列するのが大切。唇側に寄せすぎれば転覆の可能性も出てくるし、舌側に寄せれば舌の邪魔になりかねない。機能印象時や試適時に舌のポジションや転覆の有無の確認は吸着達成のためには必須である。また、アングルの分類毎に機能的安定を獲得するために排列ポジションを変えることもある。
・森永先生:吸着をサポートする研磨面形態の歯科医師と歯科技工士の共通認識
歯肉形成についてはデンチャースペースコアを目安にオーバーにならないよう形成する。口腔周囲筋の邪魔にならないことが重要である。また歯科医師・歯科技工士が同じ完成形をイメージし共有することでそれぞれの立場からの意見を言い合い歯肉形成に反映させることが患者満足度を上げることに繋がる。つまりコミュニケーション量が患者満足度に深く関係する。
・岩城先生:吸着の向上と口腔内で調整の少ない咬合調整
咬合調整については吸着を壊す方向に咬合のベクトルを排除するように調整するのがポイント。個人トレーによる機能印象・機能的安定を狙った人工歯排列・コミュニケーションから導きだされた歯肉形成、これらを完璧に形にしてきても咬合調整で咬合破壊してしまったらこれまでの工程が無意味なものになってしまう。重合後リマウントして咬合器上で行った咬合調整、セット時の咬合調整、この二つの咬合調整は調整手順を歯科医師・歯科技工士で共有しておくことが最も重要である。
・最後に
総義歯臨床成功へのキーポイントは『コミュニケーション』である!!
話しは逸れるが前日に行われた懇親会では4人の講師を交えながら様々なためになるお話を聞くことができた。このような懇親会も研修会の醍醐味の1つだと思う。12月の東京ではJDA会長の阿部二郎先生も登壇されます。私ももちろん参加します。大変為になるセミナーなので参加することを強くお勧めします。